今日、1ドル=67ルーブル、1ユーロ=71ルーブル、ルーブルめちゃ強いルーブルの独歩高が続く。もし今の3倍の20ルーブルまで上がったら、ドル建て換算で、ロシアのGDPが日本のGDPを追い抜くことになる。(1ドル=126円、日本のGDP600兆円として)
いったい、なぜルーブルだけが強いのか。
■EU諸国、露産ガスのルーブル支払いに同意(2022年5月26日, 15:07)-----------
ここからEU諸国は、エネルギー危機のリスクが高まる中、ガスの支払いをルーブルで行うというロシアの要求に同意した。この同意はロシア側の「勝利」と呼んでいい。------------------------------------------------ここまで
プーチン大統領は今年3月23日、「ロシアは非友好国へのガス供給の決済をルーブル建てに移行する」と明言していた。ここにきていよいよ、EU諸国はロシアに頭を下げてガスを供給してもらい、ルーブル建てで決済することになったのだ。ルーブルだけが強い反面、ドルは弱くなっている。
アメリカの金利が上昇しているのは、世界中から米国債が売りに出されているからだ。ドル札がただの紙切れになりそうだと気付いた各国は、外貨準備として米国債を持っているのが怖くなっており、米国債を売却しだした。ドル決済はやめようということだ。
EU諸国は、露産ガスをルーブルで支払いできるなら、なおさらドルで支払う必要がなくなる。いままで、中東から石油を買うときに世界各国はドルで支払っていた。世界が貿易でドルを使うのだから、世界の国々はドルを蓄えていなければならない。したがって、アメリカは世界の国々が米国債を買ってくれるので豊かな暮らしができていた。しかし、国債は借金なのだから、期限が来たら返さないといけない。ところが、アメリカは借りた金を使い込んでいるので返せない。返せないから輪転機でドル札を刷るわけだ。
こうなると、ウクライナ戦争は、裏側で経済戦争の意味を持ってくる。この標的は、ロシアでも中国でもなく、ブーメランのように米ドルに戻ってきたといえる。
そもそも経済制裁は、ロシアの外貨準備高へのアクセスを停止させ、緊急の時に外貨準備高を当てにできないというメッセージが発信された。これは、有事の安全のためにドルを保有する意味を根底から壊した。多くの国が米国や西側諸国への依存から脱却するための措置を取る動機を与えたが、BRICS諸国(およびパートナー国)が、一斉に制裁リスクのあるドルを拒否する機運を与えた。これは言い換えれば、最終的にドルを破壊する、ドルの自殺的な環境を今まさに作り出しているのだ。
★米国には、スタグフレーションが待っている。
今日、アメリカは40年来の高水準のインフレと、かなりのサプライチェーンの停止を目の当たりにしている。複数のグローバリストの財団が、今後3~6ヶ月の間に世界中で食糧不足に陥ると「予測」している。戦争は1年以内に急拡大するという予測もある。これの引き金がドル離れであって、決定打は世界最大の輸出国(主に中国)がどれだけ早くドルを切り捨てるかにかかっている。
こうなると、海外の銀行に預けられている何兆ものドルが、基軸通貨の地位を追われて米国に還流する。アメリカ国債は借金なのだから、期限が来たら返さないといけない。ところが、アメリカは基軸通貨の特権を良いことに借りた金を使い込んでしまって、もう元利返済できない。返せないからFRBの輪転機でドル札を刷りまくっている。そのドル札の額面の価値を裏付けるものは何もないのに、ドル札を刷りまくっている。ドル札がただの紙切れになりそうだと気付いた各国は、外貨準備として米国債を持っているのが意味なしと判断し、米国債を売却しようとする。この売り圧力がアメリカの長期金利の上昇である。
いま、猛烈にドル金利が上がっている。1997年6月23日、当時の橋本龍太郎首相は、「ドル国債を売りたくなる衝動に駆られる」と発言し、2006年多臓器疾患でぼろぼろになって死去した。この遠因に、ドル売却発言があったという説もある。
2020年3月末時点で、日本は1兆3221億9300万ドルのドル国債を保有しており、中国は3兆3011億1960万ドルの米国債を保有している。日本は米ドル国債を世界で2番目に持っているが、これを売ることは許されない。
中国は、米ドル債全体の約16%を占めている。中国がUSドルを売りに出した時、それはドル暴落のときである。つまり、世界金融は中国がキャスチングボードを握っている。
このようなドル暴落だが、その結果、全面戦争に発展するか、あるいは財政の大混乱が起こり、多くの国が機能不全に陥るだろう。その数年後には、IMFや世界経済フォーラムなどの機関が、国家的に「中立」な新しい通貨システムを使って世界経済を「救う」という壮大な計画をとつぜん知らされる。おそらくドルに代わる世界通貨としてデジタル通貨を強制してくる。これは世界的な単一通貨であって、それは、何十年も前から計画されていたことである。
★なぜドルと阿南市の暮らしが関係があるのか。
このように長々とアメリカドル危機について述べてが、なぜドルと阿南市の暮らしが関係があるのか。
アメリカは日米地位協定により日米合同委員会を設置して、日本政府を実質的に統治している。日本政府は都道府県に予算を下ろし指令をする。徳島県もその一つである。徳島県は傘下自治体の阿南市に予算を回し指導監督する。つまり、阿南市はアメリカからの指令系統の末端に位置し、アメリカドルの帰趨はドミノ的に阿南市財政を左右するわけだ。
阿南市の中長期展望を語る際には、同時複眼的に世界の政治経済を見ていかなければいけない。
例えば、本稿のようなドル崩壊が起きた時、日本はどうなるか、阿南市はどうなるかを複眼視しなければならない。アメリカの同崩壊は、ドル国債の世界二位の保有国日本の外貨準備高を吹き飛ばし、その結果、一瞬にして日本の金融財政も停止することになる。
中国やブリックス諸国がその際どうなるかというと、彼らは自国で資源を産出するので、それを担保にした金融制度を考案し、金融財政の破綻から逃れるだろう。しかし経済混乱は余儀なくされ、先述の世界デジタル通貨に収れんしていくだろう。
この過渡期は、日本にとって「金融混乱下における物資交換をどうするか」という試練にさらされる。おそらく日本政府は、何らかの埋蔵金を使った給食の配給などでかろうじて国民生命の保証をしてくると思うが、期待はできない。
現在も、災害備蓄は微量しかなく、金融混乱下における長期的な物資保証は不可能だとみられる。
★提言「災害時対策ユニット」
そこで、阿南市においては「災害時対策ユニット」を市内に形成することが必要ではないだろうか。
これは地域を講組や隣組、町内会などの区画でまとめ、互助できるようにしたもの。既存の災害組織があるならそれに乗っかかる。災害は、地震、豪雨、戦争などだが、金融混乱下における経済停止も含まれる。
現在、地震訓練と称して町内会などの避難訓練があるが、それも同列に扱う。「災害時対策ユニット」では食糧の地産地消の役割を調査し、農村部では地産を受け持ち、市街部では地消を受け持つ。
その物資の円滑な流通を、各町の世話人が担う。世話人は阿南市の委嘱等により、役割や権限を委譲されており、混乱期にける公平な物流に貢献してもらう。
この「災害時対策ユニット」は半径300~500m程度のエリアで、過疎地では広くなる。また過密地では狭くなる。「災害時対策ユニット」であれば、毎年の地震訓練を使用して、災害時の対策を兼ねてシミュレーションができる。
地震による道路決壊と物流停止は、そのまま地産地消の物資交換を実践できる。物資と対価交換、世話役と権限、停電時の非常通信手段など考察すべき点は多々ある。また、いっそのこと「災害時対策ユニットエリア」のなかに、共同炊事場所を指定して、臨時かまどなどを保管しておけば、災害時には調理のけむりが「のろし合図」となって、停電でも食事提供時間を知らせることにもなる。
太平洋戦争後は各地域に互助的なつながりがあり、貧しいながら希望をもって生き抜いてきたし、助け合いを当たり前のようにやってきた。
しかし、いま、過度な個人主義、他人不干渉、コロナによる自粛と孤立で、地域の寄り合いやサークルは解体され、人間関係がとても疎遠なものになった。
しかも、死者が多く、噂話は「だれそれさんが死んだ」という話題がもっぱらだ。このような世相・風潮を理解したうえで、これからの混乱を乗り越えていかなければならない。
そこで、まあ、色々言うつもりはないが、ジビエ2000万円施設なんかは、加茂谷地区での「災害時対策ユニット」の中核になりえる。大きなキッチンがあるわけで、ジビエを食材にした加茂谷地区でのセントラルキッチンに変身できる。
そうであれば、災害対策のひな型をジビエ組織に委嘱し、創意工夫をやってもらえれば、2000万円の補助金は「活きたカネ」となるであろう。
また、新野町のシームレス民泊にも相当額の補助金が下りる。これも補助の根拠など色々言うつもりはないが、民泊のキッチン機能、宿泊機能はまさに「災害時対策ユニット」の中核そのものである。
そうであるならば、住民参加による地産地消シミュレーションは描きやすいだろう。私が阿南市の在り方で思うのは、「自分本位」だけでやっては、地域が分断対立し、解体するばかりという懸念である。これを乗り越えて、もっと大同団結するためには、今までの権益やしがらみを根底から解体する大きなリセットがなければ、ひとの生存本能は呼び覚まされない。
本稿で見てきたドル崩壊、金融混乱の考察は、誰もが予想だにしない大きなリセットである。それであるがゆえに、最大の混乱と最大の互助可能性を見いだせると思う。
阿南市には、このようなシミュレーションの企画立案と実施指導をお願いしたいと思う。